前回宣言したとおり、臨帝♀です。時間的にはその9の直後。短くした、つもり。んでもって本当はもっと前に書いておきたかった話
先月からずるずると不定期に更新していったこのパロも、とうとう二桁になりましたよ。おかしいな、予定だったらもう二巻分まで話が進んでいるはずなのに・・・・・・一巻分進むのにどれだけかかっているんだ、私
こっちに載せようと思っているとんでも設定なパロがあとふたつあるので、様子を見て投下しようと思います。ひとつは岸谷家の養子(=新羅の義弟)で今話題なオトコの娘な帝人くんパロ。簡潔に言うと常に女装している岸谷帝人くんパロ。一巻頃で、まだセルティが新羅にツンツンしている時期の、一生懸命セルティと新羅をくっつけようと努力している帝人が書きたい。
帝人「いつでもお義姉さんと呼ぶ準備は出来てます。だからセルティさん、お願いですからぼくのお義姉さんになってください・・・・・・」
セルティ『帝人・・・・・・・・・!』
新羅「あれそこおかしくない? そこは義兄さんと結婚してくださいってお願いするとこじゃないのかな帝人くん? セルティも『新羅の嫁はどうでもいいけど帝人の義姉にはなりたい・・・・!』って雰囲気出すのやめて! そろそろ私のHPはゼロだよ!」
完全に私だけが楽しいパロです。ていうか女装させる必要性皆無。たぶん帝人くんはどうやったらセルティが新羅と結婚してくれるかを門田やシズちゃんに相談しています。ワゴン組に相談するのは何かが間違っているような気がするけれど、深くは考えない帝人くん
帝人「だいたい義兄さんが首の在る女の子に興味ないって吹聴してばっかだったから、この歳になっても彼女のひとりもできないんですよ・・・・・・! セルティさん以外の誰が義兄さんの奥さんになってくれるって言うんですか!? 早いとこセルティさんを説得しないと・・・・! なによりぼくはセルティさん以外の女性をお義姉さんと呼ぶつもりはありません!」
門田「本人の意志は無視でいいのか? 一番重要なところを完全スルーでいいのか?」
帝人「門田さん、結果がよければ全て良し、なんです」
もうひとつは表にあげている未来が視える帝人くんパロの原型で、未来が視える帝人ちゃんパロ。平和島兄弟と幼馴染。静雄を兄さん呼び、幽を幽くん呼び。たぶん静帝になるんだろうけれど、上手くオチが決まらない上に下手したら帝人が死ぬオチになってしまうかもしれないのでお蔵入りになった一品。
先に手をつけるとしたら岸谷帝人くんパロだよなあ。オトコの娘が好きすぎて作ってしまったパロですけど、とりあえずこれもオチが未定な上に誰ともくっつかなさそう。私が帝人を闇夫婦の子供にしたいだけ。あ、でももしかしたら静帝になるかもしれない。
どっちか読みたいって要望があったら善処します。設定だけ吐き出していくのも楽しい
「それで、もし君が勝っていたら君は俺に何をお願いするつもりだったのさ」
金に物を言わせて大量に服を買い、動き回って腹が減ったので適当な店に入って胃を満たし、帰宅した自宅のソファーに身体を埋めながら臨也は膝に乗せた帝人に尋ねた。向かい合う形で抱きしめた彼女の、臨也自ら選んだ藍色のミニワンピースに満足げに目を細める。中に着せたチュニックがレースをふんだんに使ったものなので、ミニワンピースがシンプルでも充分に見栄えがする。帝人の細い腰を抱き寄せて、帝人が特に嫌がる素振りを見せないことをいいことに近付いた額に口付ける。
「ひとつぐらいなら、お願いをきいてあげようかな? あ、なんなら可愛くおねだりとかしてみる?」
「死んでください、兄さま」
べしりと額を叩かれたが、本気じゃないのかそもそも力がないのか、たいして痛くない。細いが成人男性の平均的な身長と体重を維持している臨也と、どう贔屓目に見たって全国女子高校生の平均より小さい身体をしている帝人では、基本的な力に差がありすぎて話にならない。
そうですねえ、と帝人はあれだけ悔しがっていたことなど全て忘れたかのような声で呟いた。
「兄さまの仕事を、少しだけ見せてもらうかなって考えてたんですけど」
「却下」
にべもなく一息で断わると、帝人は臨也が慣れた手つきで塗った色付きリップで艶やかに光る唇を少しだけ尖らせて、ケチ、と不満げに囁いた。ケチと言われても駄目な物は駄目で、この『妹』には甘いと自覚している臨也でも、そのお願いは叶えられない。
「あのねえ・・・・・・君、俺の仕事わかってる? 新宿一の情報屋さんだよ? どれだけお客さんがいると思ってるの? 反対に――――どれだけ敵がいると、思っているの?」
臨也の商売相手には極道だっている。おおっぴらに活動できない人々がいる。その客の敵が逆恨みで臨也を狙ってくることなんて、普通にあるのだ。そんな状況に帝人を巻き込みたくない。慣れている臨也や殺しても死ななそうな静雄と違って、彼女は普通の女子高校生なのだ。
「そんなわけでそのお願いは却下。他には?」
「じゃあ、ひとつだけあります」
断わられることは前提だったらしく、帝人はあっさりと引き下がる。まるで起きなかった過去には興味ないと、言わんばかりな顔をして。
囁かれた言葉は短く、しかしありありと不快感と断わったら許さないという決意に満ちていた。
「ぼくのことを、『俺たちの可愛い妹』と呼ばないでください」
一瞬だけ、臨也の脳みそは考える事を放棄した。しかし次の瞬間にはすでに、彼女が吐き捨ているように囁いたお願いの理由さえも、理解していた。すとん、とあまりもたやすく納得できたその理由に、臨也は興味深いイキモノでも見るような瞳を、細める。
失念していた。帝人が所有物のような言い回しさえ嫌う、『強欲』だということを。
「誰があなたのものになりましたか? ぼくはいつだってぼくのモノです。他人になんて――――髪の毛一本だって、やるものか」
こちらを射抜くような帝人の瞳には『憤怒』がありありと表れている。気に入らないんですよ、と帝人は吐き捨てた。
「傲慢の兄さまは今まで一度だって、ぼくの名前を呼ばなかった。そうすることが兄さまなりの『傲慢』の在り方なら、ぼくは仕方ないと思うんですけど」
仕方ない、で済んでしまうのだ。例え臨也が他人を玩具のようにいじくりわますその現場をその目で見たとしても、帝人は仕方ないで済ませるのだろう。なぜなら、帝人自身もまた、酷く『強欲』な自分の在り方を、仕方ないで済ませるしかないからだ。そう思っているから、帝人は臨也の人でなしっぷりも静雄の理不尽なキレやすさも幽の呆れるしかない惰性も、全て許容している。珍しい子だと臨也は思う。臨也も『傲慢』な自分とはそれなりに折り合いをつけているが、帝人ほど全てを受け止めているわけではない。静雄などはあらかさまに『
憤怒 』 を疎んでいるというのに。
「君だって俺の名前を呼ばないのに」
「兄さまを呼び捨てには出来ませんよ」
別に血の繋がった兄妹というわけではないから、そう呼び方にこだわる必要はないのだけれど。『怠惰』の弟などは静雄の影響もあってか、一度だって臨也を兄と呼んだことはない。
しばらくの間無言で見詰め合っていたのだが、先に折れたのは臨也だった。仕方ないね、と肩をすくめる。
「これでいいんだろう――――帝人ちゃん?」
その時、
呼び方ひとつで帝人が本当に満足そうな顔をしたから、結局臨也は言い出す機会を永遠に失ってしまった。俺たちの可愛い妹。その呼び方を、けっこう気に入っていたという、事実を。
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